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中国がグリーンスチール競争でトップに?2030年までのH2-DRI-EAF市場と政策展開

要点

  1. 再エネ由来電力とグリーン水素 (H2) の生産をめぐる競争では中国が優位に立っており、グリーン一次鉄鋼メーカー間の競争においては2030年までにトップの座を獲得する可能性がある。第15次5カ年計画に向けた政策議論とモデル化ではこの野心的目標を成文化し、補助金に関する決定を正式に行うことが求められる。
  2. 最近では中国のほぼすべての鉄鋼大手がH2に対応したDRI(直接還元鉄)生産用設備の建設を発表していて、中国が2030年までに世界トップレベルとなる低炭素一次鉄鋼生産量1,500万~2,000万トン/年を実現できることが示されている。ただ、中国国内では地域によって勝者と敗者に二分される可能性がある。
  3. 中国市場を牽引するのは、短期的には、国際的なカーボンプライシング調整措置ではなく、中国の地場EVメーカーが持つ需要とグリーンスチールに対する需要側の強力なシグナルとなる。その影響は、サプライチェーンの中でも高品位鉄鉱石を供給するサプライヤーまで及ぶ可能性がある。
  4. 中国では現在、2025年までに電炉(EAF)の生産能力シェアを15%に増強するという目標を設定しているが、2030年までに20%まで引き上げる必要がある。また、鉄鋼の生産能力を更新する政策の停止や市場統合政策については、一次グリーンスチールもしくは二次グリーンスチールのいずれについても、EAFによる生産への切り替え・移行を妨げるものではないと位置づけられる必要がある。

はじめに

2030年以降を見通したとき、低炭素一次鉄鋼の製法として現時点で成熟度が最も高いのはH2-DRI-EAFである。本書では、この製法の概要とその構成要素について説明する。あわせて、中国が自国の資源、技術、資金を活用して一次鉄鋼生産における競争優位を維持している理由についても説明する。

 

最初に製法全体を取り上げ、次にグリーン水素、直接還元鉄、EAFについて検討する。最後に、製鉄・製鋼の脱炭素化に向けた補助金について関心が高まっていることを踏まえて、中国の政策立案者がリーダーとしてこの分野の取り組みを加速させられるよう、分析を示す。

 

図1:H2-DRI-EAFとグリーン一次鉄鋼の構成要素

出典:Transition Asia

 

H2-DRI-EAF:概要

H2-DRI-EAF法は、必ずしも新しい革新的な製鉄法というではないが、石炭を大量消費する従来の高炉-転炉 (BF-BOF) 法よりも優れており、競争上の最有力候補として注目を集めている。

 

DRI法は、(ペレット状の)鉄鉱石を原料として使用し、鉄鉱石を石炭で加熱するBFと同様に、鉄鉱石から酸素を除去して鉄に転換する(「還元」)。DRI技術では、BFとは違って鉄鉱石を溶融させずに鉄鉱石を「還元」するため、ガスが大量に使われる。現在、ほぼすべてのDRIは化石燃料由来のガスで生産されている。すなわち「ガス-DRI」である。

 

他方、今日大きなスケールで検討されている製鉄法は、水素を還元剤として使用して鉄鉱石から酸素原子を取り除き、(直接還元) 鉄と水 (副産物) を生成する方法、すなわち「H2-DRI」である。

 

水素100%による鉄鋼生産は、BF法と比較して大幅な排出削減が可能で、現時点では世界の水素の99%以上は化石燃料またはその副産物から生産されているが、水素は水の電気分解によって生産可能であるから、再エネ由来電力源から電力を供給すれば、CO2の排出量はゼロである1

 

水素による直接還元が終わると、その鉄はEAFに装入され、粗鋼が生産される。マーケットに関する多くの最新分析が、DRIは圧縮してホットブリケットアイアン (HBI) の形態で出荷・貯蔵可能であり、バリューチェーンにおいてEAFをH2-DRIから切り離すことができると示している(HBIの形で保管・輸送できるので、DRIの生産を必ずしもEAFの近傍もしくは一貫設備で行う必要はない。それぞれエネルギー等の条件が好適な場所で生産・稼働できる)。つまり、HBIの「オフショア化」である。再エネ由来電力で稼動するEAFにグリーン水素から生産されたDRIが装入されれば、H2DRI-EAFバリューチェーンのすべての段階において化石燃料に依存する必要がほぼなくなることが基本的なメリットとなる。

 

BF-BOF法からDRI-EAF法へ移行した場合、排出量は大幅な削減が可能で、排出量原単位は粗鋼1トン当たり1.8 t-CO2から、天然ガスによるDRIでは1トン当たり0.65 t-CO2、H2-DRIでは(水素の生産方法によって異なるが) 1トン当たり0.05 t-CO2にまで低減できる2鉄鋼部門においては、この製鉄法を脱炭素化に関する規格、政策、投資の基準とみなすべきである。

 

ここからのセクションでは、中国の状況を踏まえて次のテーマについて説明する。

‐ 世界最安のグリーン水素

‐ 「水素への対応完了済みDRI技術」と高品位鉄鉱石の供給

‐ 中国における市場の発展と政策目標

‐ 需要側からの強力なシグナル

‐ H2-DRI-EAFの成長に向けた政策と補助金の概要

‐ 提言

H2:世界最安のグリーン水素

電解槽の容量

 

現在、中国における一部のDRIプロジェクトで使用される水素の大半は、コークス炉ガスか天然ガスから生産されており、再エネ由来電力源から生産されるグリーン水素は限られている。中国で必要とされ、期待されているのは、グリーン水素の生産量を大幅に増加させることである (水は風力や太陽光による再エネ由来電力を使って電気分解され、水素と酸素に分離される)。

 

中国の「水素エネルギー産業発展中長期計画 (氢能产业发展中长期规划(2021~2035年)」は、同国史上最も包括的な水素戦略である。同計画はグリーン水素に特化したものではないが、供給側の取り組みの一環として、2025年時点における再エネ由来水素の年間生産目標を10万~20万トンに設定している3今後、電解槽の容量を合わせて2.5GWとし、同国のグリーン水素年間生産目標を1年前倒しで達成するものと予想される。この大きな容量の実現により、グリーン水素の年間生産量は22万トンまで増加するとみられ、そうなれば中国の2025年目標を1年早く上回ることになる4

 

主要な電気分解法としては、アルカリ水電解とプロトン交換膜 (PEM) 水電解という2種類がある。アルカリ水電解は安価で、中国がその世界市場を独占している。一方PEM水電解はエネルギー効率が高く、太陽光発電のような変動的な電力生産に適する。PEM水電解では、電極が電解質溶液に浸され、膜を通ってイオンが移動すると水素が発生する。

 

再エネ由来水素の開発はまだそれほど進んでおらず、特に鉄鋼生産向けにはほとんど生産されていない中、中国国営石油ガス大手の中国石油化工は、260MW級PEMプロジェクトの試運転に成功、さらに390 MWのプラントを建設中で、1 GWのプラント建設をも検討しているとされる。さらに、中国国内のコンソーシアムはPEM電解槽を使用した世界最大のグリーン水素プロジェクトの1つに45億米ドルを投資している5 6重要なのは、このコンソーシアムが国産のPEM電解槽を使用する意向を固めていることである。世界の競合相手と比べれば遅れてはいるものの、中国がこの技術の進歩に対して大きな関心を寄せていることを示している7

 

ボックス1 - 中国の技術革新、目標を上回る

中国はハイテク開発において追い上げを図り、そのサイズと規模にふさわしい市場シェアを独占してきた実績を有する。電解槽の設置容量も同様である。IEAによる水素に関するレビューでは、この事実が明確に示されている。「2020年、水素の生産専用に設置された中国の電解槽容量は世界の電解槽容量の10%未満であった。… 2022年、中国の電解槽容量は200 MW以上に増加した (世界の電解槽容量の30%に相当)。… 2023年末までに、中国の電解槽容量は1.2 GWに達すると予想され (世界の電解槽容量の50%)、世界全体で投資の最終決定が行われたプロジェクトの40%以上を占めている。8

出典:Transition Asia、IEA

 

現在、大規模なグリーン水素の生産が行われていない中国にあって、水素価格の引き下げを実現するカギは電解槽のコスト削減である。風力発電と太陽光発電の分野では、これまで欧州と日本がこれらの業界を牛耳ってきたが、産業戦略により適切に各部門の連携を図ったことで、中国が市場リーダーとして台頭してきた。有利な政策環境を構築・維持する一方、国内投資家が初期段階で発する肯定的なシグナルをテコにして、中国の電解槽生産能力を拡大し、最終的にはコストを引き下げることが可能だ。

再エネ由来電力の供給

 

グリーン水素生産用電解槽やEAFへの電力供給には、莫大な量の再エネ由来電力が必要となる。中国ではこれまで、再エネ由来電力を使って稼働時の脱炭素化を図る重工業は水力発電が盛んな省に移転していたが、中国政府は国内の記録的な干ばつや不安定な水力発電レベルを踏まえて、この電源への依存を抑制している。重工業が水力発電の豊富な地域に移転し、再エネ由来電力を使って電化を図ろうとしても、持続可能性が低い。

 

その代わり、重工業はより信頼性の高い再エネ由来電力を利用して脱炭素化を図る必要がある。河北省、江蘇省、山西省などの鉄鋼生産拠点にある製鉄所は、再エネ由来電力を利用する上で最適な省に位置している、というわけではないが、高水準の日照と良質な風力を確保することができる。この条件は、それぞれスペイン北部やスウェーデンの大部分 (欧州のH2-DRIプロジェクト拠点) に類似していて、こういった省の主力産業である重工業向け再エネ由来電力がさらに導入される可能性が高い。

 

中国北部、特に高水準の再エネ由来電力が未開発な内モンゴルでは、太陽光発電と風力発電にとって最高の条件が揃う。内モンゴルは、戦略的水素計画の一環として、豊富な資源を活用し、主にグリーン水素電解槽への供給を目的に2.2GWの風力・太陽光インフラ整備を計画している。実際、中国の宝武鋼鉄は省内で1.5GWの電解槽を建設すると宣言している。

 

中国の再エネ由来電力資源をグリーンスチール生産に利用するには、鉄鋼部門が同国の複雑な規制環境に対応する必要がある。中国は、依然として再エネ由来電力の調達が最も困難な国の一つで、欧州や北米ではコーポレート電力購入契約 (CPPA) により価格の透明性と脱炭素電力の供給を保証しているが、中国版のCPPA、つまり「二者間契約」は市場や規制の不透明性を踏まえると、まだ初期段階にある。

 

CPPAに関する規制枠組みはまだ変化を続けていて、中央政府や地方政府が関連規制をどのように構成し、どのように施行するのかといった点も不透明である。電力系統へのアクセスにも課題があり、地域によっては電力制限といったリスクもあり、依然としてCPPAの実現可能性に影響を与えている。より広範な電力市場の設計メカニズムや、長期的な契約に伴う潜在的な金融・信用リスクも複雑さに拍車をかけている。9

 

ただ、繰り返しになるが、中国の再エネ由来電力について楽観的に考えられている理由はその規模と成長力である。2021年に発表された中国の第14次5カ年計画では、2030年までに風力発電と太陽光発電の容量を合わせて1,200GWとすることが明記された。しかし、この目標は、「EV戦争」の追い風もあって、2030年を待たず2023年7月に達成された。2024年中には新たな数値目標が追加されるとみられ、今年末までに中国の太陽光発電と風力発電の容量は1,310GWに達すると予想される

中国、2030年までに水素価格を2.4ドル/kgに

 

このような点を踏まえると、中国は電解槽の容量と再エネ由来電力の生産でリーダーになったと言えるだろう。前者は競争力のある設備投資で、後者は低い電力コストで実現された。いずれも、世界で最も競争力のある水素価格の実現につながると思われる。

 

ブルームバーグなどのアナリストは、その多くが、グリーン水素が化石燃料由来水素に対抗できる基準を2ドル/kgとしている10実際、ArcelorMittalはスペイン北部のパイロットプロジェクトで低炭素鋼を経済的に生産するための数字として、「欧州の進歩的な炭素税」を加味した2ドル/kgを挙げている。

 

炭素価格をゼロと仮定した場合の技術的・経済的分析 (「参考資料」を参照) で示したとおり、中国におけるグリーンH2-DRI-EAF法は、BF-BOF法やNG(Natural Gas, 天然ガス)-DRI-EAF法よりもコストが高く、NG-DRI-EAFのコストと拮抗させるにはH2価格を約2ドル/kg、BF-BOFと拮抗させるには約1.4ドル/kgとする必要がある(いずれも補助金なしの場合)。

 

この議論は、「空間的脱炭素化」(DRI生産を水素生産コストの低い地域に移転し、この鉄をHBIの形で出荷することで、国内DRI施設に水素を貯蔵し生産する方法に比べてコストが最も低い代替手段になる)につながる11つまり、HBIの生産をオーストラリアやブラジルなどにオフショア化することと同じことを意味する。

 

空間的脱炭素化は、特に低コストでの水素生産に適していない日本などの国のメーカー、日本製鉄などのにメリットがあると考えられる。ただし、中国国内の立地という点では、各省が新たなグリーン水素市場を求めて競争するため、水素生産とDRIが切り離される可能性もあるが、これは中国国内のH2-DRI-EAFバリューチェーン全体を脅かすものではない。

 

さらに重要な点として、中国水素連盟 (China Hydrogen Alliance, CHA)は、中国国内の設備投資を含むグリーン水素の生産コストが2025年までに25元/kg(約4ドル/kg)を下回り、2030年までに2.40ドル/kgまで低下すると予測している。最近の電解槽と再エネの生産能力の向上を見れば分かるように、この数字は控えめな予測で、10年以内にさらに積みあがる可能性がある。

DRI:「水素への対応完了済みDRI技術」と高品位鉄鉱石の供給

「水素への対応完了済みDRI技術」プロジェクト

 

最初にH2-DRI-EAFへ移行したのは欧州である。中国の鉄鋼業界は追い上げを図っていて、この1年間でその野心的目標と実際の導入状況が変化している。注目すべきH2-DRIプロジェクトが複数発表、導入、稼働中だが、明らかにトップダウンの政策はほとんどなく、「水素冶金」と総称されるプロジェクトが多くの企業によって推進されている。

 

表1:中国の重要なH2-DRIプロジェクト

出典:Transition Asia

 

上掲の表は、広東省湛江市にある宝鋼湛江鋼鉄の大規模生産拠点、河北省張家口市にあるHBISグループのH2-DRIプロジェクト、内モンゴル烏海市にある建龍・内モンゴル・サイシプ社からスピンアウトしたベンチャー企業など、各企業の重要な取り組みについて主要な点を複数の情報源から取得したものである12さらに、山東省日照市の日照鋼鉄、河北省邢台市の邢台鋼鉄、山西省晋中市の中晋太行矿业有限公司も、鉄鋼生産の進化に貢献している。

 

同国のH2-DRIプロジェクトの大半は、北京より北に位置する各省に立地している。こうした省は中国の鉄鋼生産拠点であり、河北省、江蘇省、山東省、河南省、安徽省で中国の粗鋼生産量の60%以上を占めている。注目すべきは、内モンゴル自治区にもH2-DRIプラントが2カ所あることである。近年、伝統的に石炭を大量消費してきたこの地域も、風力発電や太陽光発電のポテンシャルが高いことから、再エネ由来電力プロジェクトの拠点となっている。

 

表2:プロジェクトと水素源の表

出典:Transition Asia

 

プロジェクトの大半は「水素への対応完了済みDRI技術」であるが、今はまだ天然ガスやコークス炉ガスから生産した水素を使っている。化石燃料由来の水素からグリーン水素に切り替えるための条件を整えるには、競争力のあるグリーン水素価格、供給、輸送、貯蔵が鍵となる。つまり、現在は生産能力がグリーン水素を供給するサプライチェーンの能力を上回ってしまっているので、このボトルネックに焦点を絞って手段を講じる必要がある21 22

 

注目点は、鞍山鋼鉄のRE-H2-DRIプロジェクトが、「ゼロカーボン流動層」式でグリーン水素を利用する世界初のプロジェクトであり、2022年に導入を開始したことである。「このプロジェクトでは、鉄含有量65%の鉄鉱石を原材料として使用し、また水素を還元ガスとして採用しており、水素は化石燃料由来ではなく水の電気分解によって供給される。この研究プロジェクトでは、年間1万トンのDRIを生産する。23」とされている。

 

さらに、こうしたプロジェクトがすべて実現すれば、約500万~600万トンのグリーンスチールが生産されることになる。この数字は、2023年の欧州における同種製品の需要を上回る24また、必然的に、中国で生産されるグリーンスチールは国内産業、特に自動車部門で使用されることが予想される。これについては後述するが、この点でも中国は規模の面で他に勝っている。このような取り組みを続けてきたことで、中国は日本や韓国を抜いて東アジアのマーケットリーダーとして台頭した。2030年までにはさらなる成長が見込まれる。

 

DRI技術

水素の供給源(再エネ由来か化石燃料由来か)にかかわらず、水素を還元剤として使用するDRI技術は既に実証済みで、世界中の生産施設で使用されている。現在、世界市場で優位を占めるのはDRI技術を提供する主要2社、TenovaとMidrexである。両社の技術では、シャフト炉内の還元ガスの成分を調整して鉄鉱石を鉄に還元することができる。一般的には、天然ガス由来水素が還元ガスの約50%を占め、残りが一酸化炭素となるが、Midrexでは、最大80%を水素にあてる技術が商業的に実証済みである。ただし、画期的といわれるスウェーデンのHYBRITプロジェクトでは、100%グリーン水素を還元剤として利用するためにTenovaのEnigeron技術が使用されている。

 

Tenovaの技術は現時点でかなりコンパクトなシステムで、天然ガスによるDRIに比べて効率的なH2-DRI法に必要な高圧力を達成できることから、Midrexの技術よりも人気があるようだ。また、米国に本社を置くMidrexは、今も続く地政学的問題の見地から中国では逆風に直面している。ただし、両方の技術ともHBI、冷間DRI (CDRI)、熱間DRI (HDRI) など、さまざまな形態の鉄を生産可能で、さまざまな製鋼プロセスに対応できる。中国の一部のプロジェクトでは、長い歴史を有するイランのDRI技術が使用されている。ガスによるDRIについてはシャフト炉ベースのDRIが唯一の方法というわけではなく、市場における導入率はかなり低いが、バッチ法や流動層法も存在する。宝鋼とHBISによる2つの主要なH2-DRI-EAFプロジェクトでは、いずれもTenovaの技術が使用されている。

 

高品位鉄鉱石の確保

 

H2-DRI-EAFによる鉄鋼生産には、鉄含有率が最低でも約67%の高品質鉄鉱石が必要である。鉄鉱石は通常、直接還元法で使用する前にペレットまたは塊鉱に加工される。この高品位鉄鉱石の主要供給国は南米、カナダ、スウェーデン、バーレーン、イランで、中国は現在は国策でコントロールされている調達法を変更・調整する必要がある。

 

中国が消費する鉄鉱石は現在、主に高炉用 (鉄含有率約62%) である。中国は、国内産の鉄鉱石が比較的低品位(鉄含有率約34.5%)であることから、鉄鉱石の約80%を輸入に頼っている。2023年に輸入した鉄鉱石の原産地は主にオーストラリア (63%)、ブラジル (21%)、インドや南アフリカを含むその他の国 (16%)となっている25

 

図2:中国:鉄鉱石の原産地別輸入量 (2023年)

出典:2023年末時点のWindデータおよび光大証券研究

 

中国企業は潜在的なリスクや政治的要因に対応するため、戦略的にさまざまな地域で鉱山開発を進めている。注目すべき点としては、中国が資源確保のために、オーストラリアへの依存度を減らし、西アフリカ、特にギニアへと顕著に移行しつつある点だ。ギニアのシマンドゥ鉱山における高品位鉄鉱石の採掘権獲得は、中国が将来重要になるとみる資源確保戦略を反映したものである26

 

中国の鉄鋼企業はペルー、アルジェリア、リベリアの鉱山にも投資しており、サプライチェーンをますます多様化させている。中国政府は、資源確保戦略の一環として、2025年までに鉄鉱石の貯蔵量を3億7,000万トンまで増加させることを目指している27政治的関係が緊迫化し、インドとオーストラリアからの輸入が減少していることからも分かるとおり、高まり続ける地政学的な問題も中国の鉄鉱石輸入に影響を与えている28

 

ただ、当面は高品位鉄鉱石の調達は、H2-DRI-EAFにとってのボトルネックではないとみられる。実際、中国の政策は既に、価格と量の安定化を志向していて、この意味では中国鉄鋼業界の資源確保能力を向上させる「礎石的計画」が鍵となる29

EAF:中国における市場の発展と政策目標

中国のほとんどのEAFは今のところ、スクラップを原料として二次鉄鋼を生産している。ただし、EAFによる一次鉄鋼の生産は始まって以来歴史が浅く、まずはDRIやHBIのような低炭素鉄に対応できるようにEAF設備群を構築し、炭素を最大限に削減するため、再エネ由来電力で稼働させる必要がある。

 

中国のEAF生産目標は、2025年までに総生産量の15%、2030年までに総生産量の20%となっている (産業部門における炭素排出ピークアウトに関する実施計画30および他の政府部門が提案したもの31)。ただし、世界では約29%がEAFで生産されている一方、中国でEAFが占める割合は、世界と比較するとまだかなり低い。他方、中国鋼鉄工業協会(CISA) は2030年以降2035年までに総粗鋼生産量の30%以上をEAFで占めることを想定した戦略案を提示している。

 

ただ、水素を使った製鉄については定量的な目標が設定されておらず、この分野の具体的な目標もまだ策定されていない。しかし、EAF設備は今後も拡大を続け、需要の増加に応じてH2-DRIを生産できるようになると考えられる。

需要家:中国自動車部門からの強力シグナル

中国の自動車企業は、製鉄所と直接、長期供給契約の締結を進めていて、これまでに重要な覚書を数多く締結してきた。

 

中国最大の鉄鋼メーカーの1つであるHBISグループ傘下Hansteel Companyは、H2-DRIを使った低炭素鋼の生産と、生産工程においておよそ30%という高いスクラップ利用率の実現に向け、長城汽車と低炭素鋼に関する協力関係をスタートさせた32同じくHBISグループ傘下Tangsteel Company33もBMWと低排出鋼の供給に関する覚書を締結したと発表している34供給量自体は明らかにされていないが、HBISが鉄鋼を供給する瀋陽のBMW生産施設では、年間65万台もの自動車が生産されている35従来のBF-BOF設備で生産された鉄鋼と比較すると、低排出鋼のCO2排出量は10~30%小さい36これに加えて、宝鋼もBBAC(北京ベンツ汽車有限公司)に低排出鋼を供給する計画を公表している37

 

2026年以降には、宝鋼がH2-DRI-EAFを活用して、BF-BOFで生産された鉄鋼に比べて炭素排出原単位を50~80%低減した鉄鋼を供給するとともに、その後は炭素削減率95%を実現するグリーンスチールの導入を目指している38宝鋼は、2023年末に奇瑞汽車とも低炭素鋼に関する覚書を締結していて、覚書によると、2024年から奇瑞汽車の既存生産施設に炭素削減率約30%の低炭素鋼を段階的に供給する39また2026年以降はH2-DRI技術により、炭素削減率50%以上の低炭素鋼を段階的に供給する。

 

最近では、BMW-Brillianceと北京首鋼有限公司、一汽フォルクスワーゲンと宝鋼が、2026年以降にEAFで生産する自動車用鋼板を含むグリーンスチールを長期で供給する契約を締結した40 41

 

中国の自動車部門は、建築・機械部門と比べれば鉄鋼消費量ははるかに少ないが、炭素排出原単位の低い製品について鉄鋼メーカーと長期供給契約を締結することで、H2-DRI需要を牽引してきた。グリーンH2-DRI-EAFプラントの大部分は利用する水素の大部分がコークス炉副生ガスや天然ガスから生産されることを考えると、その位置付けについては疑問の余地がある。したがって自動車部門が需要家として低炭素製品へのプレッシャーをかけ続けなければ、グリーンスチールの勢いは長続きしない可能性がある。

 

実際、自動車部門の経営環境はそれほど重要な問題ではない。Transition Asiaが以前行った研究・分析で強調したとおり、例えばEVに使われるグリーンスチールのコストは、総コストのうちごくわずかである42Transition Asiaの分析では、自動車用グリーンスチールの限界費用は現在、約225ドル/台で、水素が2ドル/kgと仮定してH2-DRI-EAFで生産した場合では25ドル/台である43 44 45

 

図3:中国:川下部門鉄鋼消費割合 (2022年)

出典: WIND

H2-DRI-EAFの成長に向けた政策および補助金の概要

急速に進化する政策

 

10億トンもの生産量を誇るBF-BOFからより持続可能な技術へと移行するのは大きなチャレンジである。中国がH2-DRI-EAF技術を発展させるには、必然的にDRI技術やEAF技術、水素の生産・貯蔵・輸送施設など、企業や国家による莫大な支出が必要となる。さらに、還元剤として100%水素を使用することは技術的に極めて困難であり、ほとんどの直接還元プラントの水素使用率は、実際のところ最大70%にとどまっている。

 

マクロ的視点では、見通しはさらに悪い。パンデミック後、中国経済の回復は予想以上に遅れており、鉄鋼部門にとっても課題となっている。鉄鋼消費量の多い中国の不動産業界は、主要不動産企業の資金難により、大きな逆風に向きあっているところだ。こうした企業の一部は倒産し、債務不履行や利益の損失に直面していて、不動産業界の鉄鋼需要は大きく落ち込んでいる46なお、2022年には不動産部門だけで中国の鉄鋼消費量の42%を占めていた47

 

中国の鉄鋼生産能力は、2021年の11億4,600万トンから2023年の11億7,300万トンに拡大した。ただ需要が鉄鋼生産能力の拡大ペースを下回っているので、鉄鋼生産設備の稼働率は2021年の90.1%から2023年の86.9%に低下、企業の収益に悪影響を及ぼし、一部のアナリストは業界史上最も深刻な危機と呼んでいる48 49 50

 

問題をさらに複雑にしているのは、世界的な炭素国境措置に関連して将来的に発生すると予想される逆風である。EUの炭素国境調整措置 (CBAM) といった政策が2023年に施行されたが、これが現時点では最も重要な要因というわけではない。

 

むしろ、最近では鉄鋼価格の下落に伴い、中国が鉄鋼生産設備を更新する政策を停止し、市場の合理化と集中政策を追求し続けていることから、あらゆる種類の新規生産設備を導入できなくなっていて、関係者の間ではまもなく業界再編が始まるとみられている。

 

中国が掲げる鉄鋼部門の包括的国家目標は、世界クラスの超大型鉄鋼企業グループとトップクラスの専門企業を複数構築することで、2025年までに鉄鋼企業上位5社への集中度40%、上位10社への集中度60%を達成しようとしている51これは中国の労働市場に深刻な影響を与えるもので、簡単に実現できるものではない。ただ、現況では市場の合理化により旧式で効率の低いBFを廃炉とし、合理化で勝ち残ったものがEAFとDRIの能力を将来にわたって保証されることになると思われる。

 

これらの政策変更と野心的目標は、根本的に、市場価格と過剰生産能力に反応した結果であることは明らかで、特に脱炭素化を義務付けるものではない。しかし、鉄鋼生産能力を更新する政策の停止も市場の合理化も、二次グリーンスチールと一次グリーンスチールの生産増強や短期的スパンで脱炭素化を進める重要な要因として、EAFへの切り替えを妨げるものではないと位置づけられるべきである52実際、2025年までにEAFのシェアを15%引き上げるという現在の目標は、さらなる排出削減のためには、2030年までに20~25%近くにまで見直す必要がある。

 

同様に、中国がDRIの生産を迅速に増やすには、その生産目標を国家の脱炭素化枠組みに盛り込む必要がある。特に「水素冶金」で定義されたものを越えて、H2-DRI-EAFに焦点を絞らなければならない。

 

補助金と資金援助の政策との整合性

 

2000年代のはじめ、産業補助金を導入したことで中国は純輸入国から純輸出国になり、世界の鉄鋼市場を一変させた。中国は現在、世界の鉄鋼生産量の半分以上を占める。また補助金による過剰生産が原因で、世界全体で底値の状態が続いている。

 

さらに、鉄鋼業界は流動性資金の不足による負債リスクの増大、高水準の負債や原材料費の高騰または高止まり53によるキャッシュフローの減少といった問題を抱えている。新規の技術や開発中の技術に対する国の補助金が存在しないことも、最先端のグリーンスチールプロジェクトを構築し、その資金調達を行う上で課題となっている。このような状況下、存続に関わる事業としてH2-DRI-EAFやグリーンスチールを検討している鉄鋼企業の多くは、投資の促進に向けた補助金やさらに強力な資金援助を必要としている。

 

今のところ、設備投資 (例:米英西のEAF) に対する補助金とグリーン水素生産に対する補助金の両方について、例がいくつかある。Transition Asiaは現在、中国の第15次5カ年計画で成文化が必要な2030年目標に加えて、中国が低炭素一次鉄鋼の生産で世界的に優位を維持するために必要な補助金のレベルに関して、評価・分析を行っている。グリーンスチールに対する補助金は、1)生産能力1トン当たりの設備投資補助金 (設備導入費用) と、2)実際の生産量1トン当たりに交付される変動補助金、の2種類で構成されるべきである。後者は水素価格に合わせて段階的に増減させるか、連動させることもできる。つまり、グリーン水素が安くなるにつれて、変動補助金もグリーン水素1kg当たり2ドルまで引き下げられることになるが、鉄鋼企業自身がグリーン水素を生産する場合も補助金を交付するべきである。

提言

DRI目標

EAFによる鉄鋼生産量には目標が設定されているのに対して、製鉄技術の観点でDRIへの移行を促進するための目標はまだ考慮されていない。中国の政策立案者は、トップダウンでDRIに関する目標を設定すべきである。生産能力の更新政策が実施されて以来、古くなったBFはDRI技術を用いた設備ではなく、効率を向上させた新規のものとはいえ、同じBFに置き換えられてきた。中国がDRIの生産をできるだけ早く増加させるには、DRIの生産目標を産業界の脱炭素化政策に盛り込む必要がある。

 

EAFの拡張

現在のEAFに関する生産目標としては、2030年までに鉄鋼生産の20%をEAFで生産すること、というものがある。この目標年までは7年残っているが、世界の鉄鋼の約30%がEAFで毎年生産されている一方で、中国でEAFが占める割合は、世界と比較すると依然としてかなり低い。中国を除けば、世界の生産量に占めるEAFの割合は約50%に達する。中国のほとんどのEAFは、スクラップを原料として低炭素二次鉄鋼を生産している。ただし、一次鉄鋼生産もまだ必要であり、EAF設備はDRIの形をとる低炭素鉄(BFでも利用可能)に対応できるように構築されるべきである。

 

電解槽の国内生産

現時点ではまだ、鉄鋼業界向けに大規模なグリーン水素生産が行われていない中国においては、水素価格引き下げを実現するカギは電解槽のコスト削減となる。風力発電と太陽光発電の分野では、これまで欧州と日本がそれぞれこれらの業界を引っ張ってきたが、産業戦略を通じて国内各分野の連携を適切に図ったことで、中国がマーケットリーダーとして台頭してきた。有利な政策環境を構築・維持しつつ、国内投資家が初期段階で発する肯定的なシグナルをテコにして、中国の電解槽生産能力を増強し、最終的にコストを引き下げることが可能である。

 

企業への再エネ由来電力供給

グリーンスチールの生産コストに最も影響するパラメータの1つとして、安価で十分な量が利用可能な再エネ由来電力は、競争力のあるグリーンスチール生産を実現するにあたって不可欠である。鉄鋼メーカーが水素を生産し、輸送し、貯蔵し、加熱し、またEAFを稼働させるために必要なゼロカーボン電力を大量に調達するには、CPPAを通じて非自家用の電力系統から再エネ由来電力を確保する必要がある。競争力のあるグリーンスチール価格を達成するには、電力価格を技術別の均等化発電原価(LCOE)に近づけなければならないことから、PPA市場の設計が水素コストの低減と中国におけるH2-DRIの実行可能性にとって致命的に重要である。欧米のベースロードPPA市場で市場価格の高騰と共食いリスクの増大を背景に大幅なコスト上昇を記録したのに対して、中国の政策立案者は、変動する再エネ由来電力に合わせてベースロードPPA市場メカニズムを設計・開発し、長期供給契約者に対して継続的な電力供給とリスク分散による電力価格の安定性確保を図るべきである。

 

カーボンプライシング

欧州の炭素市場では、化石燃料を大量消費する業界の限界費用が急騰している。カーボンプライシングを鉄鋼部門にも拡大することは、脱炭素化に失敗した鉄鋼業界に「ムチ」を打つことになる。ただポジティブな点としては、鉄鋼業界が中国のETS(排出量取引制度)に参画する傾向が高まっていることが挙げられる。この3年で中国の炭素価格は2倍以上に上昇し、2024年5月に100元/t-CO2を超えた。この制度を通じて電力部門と同じ方向で低炭素鋼メーカーにメリットをもたらそうとするならば、政策立案者が厳格なベンチマークを段階的に導入し、市場の流動性を高めるために再エネ供給者や金融部門といった市場のプレーヤーをより多く取り込み、オークション方式の排出枠取引をETSに導入することを検討するのも一つの方策である。

 

グリーン水素補助金

H2-DRI-EAF法でコストに最も大きな影響を与えるのはグリーン水素の価格で、鉄鋼業界の脱炭素化にはコストの低減が不可欠である。現在、グリーン水素生産には米国で3ドル/kg、欧州で2.2ドル/kgの補助金が交付されている54欧州の補助金は、米国の直接補助金よりも若干複雑である (米国では生産された水素の炭素排出原単位に基づいてメーカーに補助金が交付される)。中国の政策立案者は、単純な直接補助金交付制度を確立し、メーカーに対してコスト面での透明性を提示しなければならない。水素を生産のする関連コストが下がれば、再エネ価格を引き下げる固定価格買取制度(FIT)と同様に、時間とともに補助金を減額していくこともできる。

参考資料
文末脚注
  1. https://iea.blob.core.windows.net/assets/ecdfc3bb-d212-4a4c-9ff7-6ce5b1e19cef/GlobalHydrogenReview2023.pdf
  2. https://transitionasia.org/wp-content/uploads/2024/07/Green_Steel_Economics_240725.pdf
  3. 中国では製造時のCO2排出量が水素1kg当たり4.9kg-CO2以下のものをグリーン水素と定義している。
  4. https://www.rystadenergy.com/news/china-hydrogen-targets
  5. Fengzhen municipal government, state-owned China Power Construction (PowerChina) Kunming Institute, and Tsinghua University connected Rongke Hydrogen Energy
  6. https://www.hydrogeninsight.com/production/worlds-largest-pem-green-hydrogen-project-announced-in-china-backed-by-4-5bn-of-investment/2-1-1479258
  7. Transition Asiaによる分析、https://www.iea.org/data-and-statistics/data-tools/hydrogen-production-projects-interactive-map
  8. https://www.iea.org/reports/global-hydrogen-review-2023/executive-summary
  9. https://www.scmp.com/business/china-business/article/3268707/china-meet-its-2030-renewable-energy-target-end-year-state-owned-researcher
  10. https://data.bloomberglp.com/professional/sites/24/BNEF-Hydrogen-Economy-Outlook-Key-Messages-30-Mar-2020.pdf
  11. https://www.hydrogeninsight.com/industrial/green-hydrogen-is-too-expensive-to-use-in-our-eu-steel-mills-even-though-weve-secured-billions-in-subsidies/2-1-1601199
  12. 重要なH2-DRIプロジェクトとは、一定の生産能力を有し、既存のDRI技術または電解槽で生産された水素を利用するものをいう。R&D段階にあるものは重要なプロジェクトとみなさない。
  13. https://www.danieli.com/en/news-media/news/second-energiron-dri-plant-china_37_743.htm
  14. https://publications.iass-potsdam.de/rest/items/item_6002649_2/component/file_6002650/content
  15. https://www.asiachem.org/en/fcv_20230115
  16. https://news.gmw.cn/2020-05/27/content_33862795.htm
  17. https://www.sohu.com/a/574216091_313737
  18. http://www.mme-co.de/en/Home/projects/DRI-CSTM.html
  19. https://www.asiachem.org/en/fcv_20230115
  20. http://www.sasac.gov.cn/n2588025/n16303206/c28962599/content.html
  21. コークス用炭を加熱すると、水素が副産物として発生する。この水素はコークス炉ガス(COG)として回収・脱硫される。コークス炉内の燃焼は空気が入らない状態で進むので、水素のほか、メタンや一酸化炭素も同時に発生する。水素の回収とは、COGの発生、脱硫、不純物除去、分離、そしてDRIシャフト炉内での利用までを意味する
  22. 水蒸気メタン改質(SMRによる水素の生産は、ニッケルを触媒としてメタンを水蒸気と反応させるもので、水素の他に一酸化炭素と二酸化炭素も得られる。水素を濃縮し不純物を取り除くと、水性ガスシフト反応を経て工業用に使われる。SMRは炭素集約的な技術で、水素1kg当たり8‐10kgのCO2を排出する。石炭のガス化による水素生産はさらに炭素集約度が高く、水素1kg当たり18‐20kgのCO2が発生する(出典source: https://www.hydrogennewsletter.com/gh2-facts/)
  23. https://finance.eastmoney.com/a/202311052894807388.html
  24. https://gmk.center/en/news/demand-for-green-steel-in-europe-will-reach-3-68-million-tons-in-2023-study/
  25. Wind data, and Everbright Securities Research as of end 2022
  26. https://www.riotinto.com/en/operations/projects/simandou
  27. https://www.scmp.com/economy/china-economy/article/3168796/china-aims-fundamentally-solve-iron-ore-shortages-cornerstone
  28. https://gmk.center/en/news/chinas-steelmakers-seek-to-increase-the-use-of-domestic-resources-of-the-iron-ore/
  29.  “China’s “Cornerstone Plan” Aims to “Fundamentally” Solve Iron Ore Shortages.” South China Morning Post, 1 Mar. 2022, www.scmp.com/economy/china-economy/article/3168796/china-aims-fundamentally-solve-iron-ore-shortages-cornerstone. Accessed 3 Mar. 2023.
  30. https://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-08/01/5703910/files/f7edf770241a404c9bc608c051f13b45.pdf
  31. https://gmk.center/en/news/china-aims-to-increase-the-share-of-eaf-in-steel-production-to-20-by-2030/
  32. https://news.bjx.com.cn/html/20230816/1326041.shtml
  33. https://www.hbisco.com/en/news/group/t101/2064
  34. http://www.bmw-brilliance.cn/cn/en/news/news/2022-8-4.html
  35. https:// www.bmw-brilliance.cn/cn/en/pr/shenyang.html
  36. https://auto.cctv.com/2022/08/05/ARTIF4GCItEOauglknbGuE3B220805.shtml
  37. https:// www.bbac.com.cn/CN/4/41/3098.html
  38. https://www.stcn.com/article/detail/738093.html
  39. https://info.lgmi.com/html/202312/15/4445.htm
  40. https://auto.online.sh.cn/content/2024-08/27/content_10236977.htm
  41. http://bj.news.cn/20240731/86311b9758254f6d9540699e53e5a3f7/c.html
  42. https://transitionasia.org/green-steel-economics-china-factsheet/
  43. Levelised costs of steel are based on the cost of liquid steel and do not include downstream processing.
  44. Hydrogen prices are landed prices at the steel mill.
  45. 他国では新規設備の限界費用をみる方が適している場合が多いが、中国では生産能力更新政策の影響があるので、新規設備対新規設備でみたコスト比較の方が適している。
  46. 中国の国家統計局(NBS)によると、 不動産開発が完了するまでに要した総費用(the completion of real estate investment)は2023年に前年比5.7%減少した。 また、建設業界の不振も鉄鋼調達量の減少につながっている。
  47. Wind data as of end 2022
  48. https://gmk.center/en/infographic/chinas-steel-market-in-2021-2023-overcapacity-and-export-growth/
  49. https://splash247.com/only-5-of-chinese-steel-producers-are-currently-profitable/
  50. “Top steelmaker Baowu warns Chinese producers face severe crisis” https://www.ft.com/content/41c9fa0d-9b3e-48d4-b4b4-bb8f8863c0e0
  51. Guiding Opinions on Promoting High-Quality Development of the Steel Industry (Draft for comments), Ministry of Industry and Information Technology (MIIT), (2020)
  52. Notice from the General Office of the Ministry of Industry and Information Technology on the suspension of steel production capacity replacement work, Ministry of Industry and Information Technology (MIIT), (2024)
  53. コークス用炭価格はこの数年急騰していて、鉄鉱石の価格も高止まりしている。
  54. https://www.menon.no/wp-content/uploads/2023-48-Hydrogen-subsidy-regimes.pdf
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