プレスリリース – トランジション・アジアが国会議員勉強会で講演
トランジション・アジアは2025年12月9日に行われた鉄鋼の脱炭素化に関する勉強会に招かれ、Japan Leadを務める久保川健太氏が日本の国会議員にこれまでの分析結果を発表しました。「次世代鉄鋼戦略:電炉とスクラップが切り拓く競争力」と題した非公開セッションでは、低排出鋼生産における電炉(EAF)の不可欠な役割と、重要な原料としてのスクラップの重要性がクローズアップされました。
久保川氏は、近年激しさを増し、世界的な競争の激化につながっている鉄鋼業界に関する政策、技術やその社会に与える影響、市場の方向性といった重要な動向について、トランジション・アジアの見解を共有し、現実的かつ実現可能な改善策を提示しました。日本の鉄鋼業界は、長く日本の経済成長と繁栄を支えてきた歴史を有しますが、国内需要の縮小や熾烈なグローバル競争をはじめとする大きな課題に直面しているのが現状です。
プレゼンテーションでは、グリーンスチール、すなわち低排出鋼について国際的な信頼・信用が得られるような確固たる定義を確立すること、そしてそうして定義された鉄鋼の大規模生産を可能にするために、再生可能エネルギーの供給を拡大することの重要性が強調されました。
久保川健太 トランジション・アジア Japan Lead 「ますます複雑化する世界情勢の中で競争力を維持するには、鉄鋼メーカーだけでなく、バリューチェーン全体にわたる迅速な政策支援が不可欠です。日本は、極めて低排出な製鉄法であるEAFの主要原料となるスクラップ鉄を豊富に、しかも世界的にみても競争力のある価格で供給できるという明確な強みを持っています。スクラップの国内循環を促進すること、またその他の低排出原料に係るサプライチェーン体制の強化も積極的に推進する必要があります。」
「他方で、再生可能エネルギーの供給量とコストが最大のボトルネックとして浮上してきています。この課題に決然たる政策措置を通じて取り組むことが、鉄鋼の脱炭素化だけでなく、日本の経済競争力全体を左右する不可欠な要素となります。」
久保川氏はまた、鉄鋼の脱炭素化において、直接還元鉄(DRI)とDRIを輸送・保管しやすく加工した熱間成形鉄(HBI)の役割が拡大していることを取り上げました。グリーン水素を用いて生産される水素DRIは、スクラップと併用できるほぼゼロエミッションの鉄源です。このアプローチは、潜在的なスクラップ不足への対処法となり得ると同時に、より高品質な鉄鋼製品の生産を可能にし、低排出鉄鋼への移行を加速させるための基盤をさらに強化できる可能性を有します。こうした一連のソリューションを総合的に見ると、技術的かつ経済合理的に実現可能な脱炭素化の道筋を追求することについては、日本の準備は整っており、タイムリーかつ適切に調整された政策措置を実施できるかどうかがキーポイントであることが示されています。